NSU News

◇愛情教育、この指とまれ◇その894◇紙上討論、アクティブラーニングについて本音で語り合う。 vol.14竹澤 伸一

K「M先生、教えてください。『学生による高次の思考』を引き出すために、アクティブ度70%にこだわるって、具体的にどういうことですか?」

中学校教師Mさんの発言に、即座に反応したのが、商社勤務のKさんでした。Mさんは、少し間を置いた後で、ゆっくり語り出しました。

M「中学校の授業って原則50分なので、私は、15分を吸収する時間、35分を考えて表現する時間と決めています。50分のうちの35分なので、アクティブ度70%というわけです。具体的ということなので、歴史の授業で説明しますね。」

そう言うとMさんは、カバンから分厚いノートを取り出しました。いわゆる大学ノートよりひと回り大きなサイズのA4判のノートで、各ページには、手作りのプリントがびっしりと貼ってありました。

M「これは、竹澤先生が以前公開されていた社会科授業用のノートづくりを、自分流にアレンジしたものです。見開きのページの左側は『知識のページ』、右側は『活用・思考・表現のページ』と位置付けています。『知識のページ』には、予め、1603年、江戸幕府の成立とか、1605年、家康、朝鮮国使を引見とか・・、1615年、大坂夏の陣、勝利後に武家諸法度等制定とか、重要語句を穴埋めするなどの方式で記載しておきます。そして『活用・思考・表現のページ』には、江戸の古地図を添付して、『秀吉が家康を江戸(関東)に追いやったのは、成功?それとも失敗?』などという学習問題を添えておきます。つまり、左ページで歴史の流れを確認して、右ページで、その一断面について考えてもらえるように仕組んであるんです。」

Mさんの手作りノートが示されると、高校教師のSさんや、商社勤務のKさん、就活コンサルのYさんも、俄然注目しました。私も、通算で2千枚以上作成した授業用ノートを思い出して、思わず手にとってまじまじと見入ってしまいました。しばらく沈黙が続いた後で、Kさんがこうつぶやきました。

K「こういうノート・プリントが配られると、この50分で何を知識として押さえて、何について考えれば良いのか、生徒1人1人が見通しを持つことができますよね?」

(つづく、あと106回)