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◇愛情教育、この指とまれ◇その939◇名産大生、5年後、10年後の夢を語る。 vol.39竹澤 伸一

本日から6月。政府によって延長された、新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言が解除され、少しずつ日常が戻りつつあります。ステイホームの影響なのか、高校生の皆さまからのメールが増えましたが、岸海渡くんにも、たくさん寄せられました。そのうちの1通を、抜粋してご紹介します。

「・・・私は、事情があって中学校の時に不登校になり、高校は定時制に進学しました。そこで、2人の恩人と出会いました。1人は数学のS先生、もう1人は29歳の同級生です。同級生は外国人です。この2人と出会ったことで、私は、人生の再スタートを切ることができたと思っています。(中略)

S先生は私に、分数と小数から教えてくれました。恥ずかしくてずっと言えなかったのですが、私は、10分の3が0.3で、3割、30%と同じだということを、小学校以来ずっとわからないまま来てしまっていたのです。定時制高校に入学した直後、復習プリントと称して配られた算数の問題の最初に、分数と小数があり、身体が固まってしまった私を見たS先生は、『大丈夫、わかるまでやるから。』と言ってくださいました。そして、理屈がわかるまで、本当に何回でも教えてくださいました。(中略)

29歳の同級生Bさん(今は30歳)は、日本語を学びに入学したと言っていました。数学は、びっくりするくらい得意で、私なんかチンプンカンプンの問題をスラスラ解いてみせます。話をするようになってからは、Bさんが私に数学(まだまだ算数かな?笑)を、私がBさんに日本語(作文は割と得意です!)を教え合う関係になりました。そんな私たちを、S先生は、『割れ鍋に綴じ蓋』と言ってからかいますが、決して悪い気はしません。(中略)

岸さんの記事によれば、アルバイト先に反面教師、大学内に恩人(ロールモデル?)がいるとか。私に当てはめて考えると、申し訳ないけど、かつて通っていた中学校は反面教師だらけで、今通っている定時制高校には恩人がたくさんいることになります。私の親は、『環境は変えられない。だから、自分が与えられた環境に適応しなければならない』とよく言います。その通りかもしれないけど、やはり出会いは大事だと思うんです。だって、人間って、そんなに強くないから。(後略)」

岸くん、貴君のおかげで、私はこんなすばらしい高校生と出会うことができました。感謝、感謝です。

(つづく、あと61回)