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◇愛情教育、この指とまれ◇その944◇名産大生、5年後、10年後の夢を語る。 vol.44竹澤 伸一
「コロナ禍のせいか、地域の人々の気持ちが荒んでいくのが怖い気がします。自粛〇〇などという現象も起こってしまいました。こういう時こそ、地域の安心安全を守り抜く気概が必要なのだと思います。」
谷優紀さんは、自己確認するように語り出しました。私も、谷さんと同意見なので、思わずこんなことを口走りました。
竹「治安という言葉がありますよね。本来は、良い言葉だと思うのですが、戦前の日本社会を脅かした治安維持法などの悪法もありました。谷さんは、治安という言葉に、どんなイメージを持ちますか?」
谷さん、少しの間、考え込みました。そして、慎重に言葉を選びながら話し始めました。
谷「地域の皆さんの治安意識が過剰になると、自警団ができたり、まるで私刑のようなふるまいが横行したりして、かえって治安が脅かされるような気がします。たぶんですが、本来の治安意識の根本には、地域の皆さんの良心と言うか、理性と言うか、噂話などには踊らされない落ち着きのようなものが必要なのだと思いますね。」
さすがは谷さんです。よく世の中が見えている気がします。やはり、長年、己と戦ってきたアスリートなだけはあると思います。私は、こんな言葉を継いでいました。
竹「谷さんは、かつて取り組んできた武道で、自分と戦いながら相手とも戦ってきたと思います。そして今は、シャフトやバーベルに思いを乗せて、やはり自分と戦っているのだと思います。そういう中で身に着けた克己心のようなものが、谷さんの目指す公務員に、谷さんを向かわせているのかなと思います。」
谷さん、目を閉じて、考えをまとめているようでした。
谷「確かにそうかもしれません。私が目指している公務員は、己に克つ心、まさに克己心が最大限要求されると思います。短い人生の中の、長い競技生活が、自分に培ってくれたものの発揮のしどころだと思います。」
そう言うと、谷さんは、とっても爽やかな表情になりました。そして、にっこりしながら、こんなことを言いました。
谷「夢を実現するためにも、勉強をしないと。筆記試験は、克己心で乗り越えます!」
(つづく、あと56回)