NSU News

◇愛情教育、この指とまれ◇その956◇名産大生、5年後、10年後の夢を語る。 vol.56竹澤 伸一

「竹澤先生、改めてお伺いします。信頼される教員の条件って何だと思いますか?できれば、一緒に考えていただきたいのですが。」

大槻太一(オオツキ タイチ)くんは、いつも以上に挑みかかるような口調で、私に尋ねてきました。「信頼される教員の条件」、実に深淵なテーマです。

竹「まず、必要条件としては、わかりやすい授業ができることかな。」

私は、ストレートに本音を語りました。教師と名のつく以上、「わかりやすい授業」ができなければ話になりません。ただ、読者の皆さまの中にも存在する教師は、自戒を込めて問い直す必要があります。「果たして自分の授業はわかりやすいか」と。もちろん、私も例外ではありません。

大「そうですね。わかりやすい授業は、やはり必要条件ですよね。でも先生、実はこれが一番難しいのではないでしょうか。わかりやすい授業の『わかりやすい』とは、案外、漠然としていてとらえどころがないような気がします。」

さすが大槻くん、良いところを突いてきます。真剣に将来、教壇に立つことをめざしているだけのことはあります。「わかりやすい」の本質を、2人して突き止めなければなりません。

竹「生徒の先回りをして、何でもかんでも、噛んで含めるように解説してしまうような授業って、わかりやすいって言えるのかな?」

大槻くん、即座に反応します。

大「小学校の低学年ならともかく、教え込み、教え過ぎの授業では、中高生はすぐに飽きてしまうでしょうね。結局、聞いているだけの受け身になってしまうので、いわゆる睡眠授業になってしまうでしょう。」

1年生の時に出会って以来、「わかりやすい授業」について、幾度となく話し合いを深めてきた大槻くんなので、思考が深化してきています。

竹「噛んで含めるがダメだとすると、わかりたいという気持ちを刺激するような工夫ということかな?」

大「先生、たぶんそこですよ。今までわからなかったことが、何かの刺激を受けてわかるようになったという新鮮な体験。そういう仕掛けが、あちこちに散りばめられている授業こそ・・。」

大槻くんとの「対話的で深い学び」は、次回も続きます。

(つづく、あと44回)