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◇愛情教育、この指とまれ◇その980◇名産大生、5年後、10年後の夢を語る。 vol.80竹澤 伸一

「本当なら、事前学習を経て、3年生の5月から丸々3か月間、尾張旭市役所での長期インターンシップに臨む予定でした。しかし、コロナ禍ですべて中止になりました。残念と言うしかありませんが、頭を切り替えて頑張ろうと思います。」

吉見倫太郎(ヨシミ リンタロウ)くんは、むしろサバサバした表情で語り出しました。内心は悔しいでしょうが、それを引きずらないところが吉見くんのすばらしいところです。その、克己心とも呼ぶべき芯の強さに感心しつつ、イッツ、ア、クエスチョン、タイムです。

竹「吉見くんさ、そもそも公務員のインターンシップに参加しようと思った動機はなんなの?」

私は、屈託なく聴きました。公務員を志す人には、何とはなしに生真面目なところがあり、その生真面目さに沿った答えが返ってくると考えていました。ところが吉見くんは、違っていました。

吉「世の中に、大学生は数多くいます。そして必ず一定数は、公務員をめざす人がいます。また、いったんは民間会社に入ったけど、転職して公務員をめざす人もいます。よく人は、公務員は安定しているとか、役所は潰れないとか言いますけど、そんな消極的な理由だけで、毎年たくさんの人たちが公務員をめざすはずはありません。きっと公務員という仕事は、面白いのだろうなと思ったのです。そこで、インターンシップを通して、その面白さを見つけてやろうと思ったのですよ。」

「公務員という仕事は、面白いに違いない。」なるほど、こんな発想をする大学生が、私の目の前にいるのか。私は、俄然、燃えてくる自分自身を感じました。なにせ私も、約30年間、公立中学校教員という公務員をやっていましたから。そしてその仕事は、本当に面白かったですから。

でも私は、はやる気持ちをむしろ押さえながら、吉見くんにあえて聴いてみました。

竹「でもさ吉見くん。私は、公立中学校教員をしていた時に、教育委員会に出向していた時があって、教員出身ではない、いわゆる普通の行政職の方々とたくさん接していたけど、確かに面白さを感じながら仕事をしていた公務員の方は大勢いたけど、必ずしも全員の方が、そうでもなかったような気がするけれどね。」

これを聞いた吉見くん、表情がさっと変わり、目つきが一瞬で鋭くなりました。

(つづく、あと20回)