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◇愛情教育、この指とまれ◇その991◇足かけ4年、忘れ得ぬ方々を想う。 vol.1竹澤 伸一

本連載の読者の皆さま、いよいよラスト企画となりました。本連載が始まった2017年9月17日から今日まで、私には、連載を通して知り合った「忘れ得ぬ方々」がいます。その方々を「想う」ことで、本連載のエピローグとさせていただきたいと思います。

2018年6月27日、「その253」の連載の最後に、「難病で逝った、ある高校生の親より」という書き出しの、1通のお便りを紹介しました。その時は、「名産大新入生の夢」を書き連ねていて、その連載に対していただいたお便りでした。お便りをくださったお母さまは、同年3月に高校生の息子さんを亡くされていました。息子さんが、早朝急逝された時に、握りしめていたスマホに写っていたのが、名産大でサッカーをやりきって卒業した学生を、私が取り上げて連載していた記事だったそうです。発病する前は、息子さんはサッカー少年だったそうで、病気が治ったら名産大でサッカーをやりたいと言っていたとか。もし、息子さんがご存命なら、今の3年生と同級生になっていたのです。

そのお便りがご縁で、お母さまと妹さんに学外でお会いし、その後、研究室をお訪ねくださいました。あれから何回となく、お手紙やメール、そしてお電話をいただき、現在でも交流が続いています。

その妹さんも、今や医学生。お母さまも復職されて、看護師としてフルタイムで働いていらっしゃいます。お二人とも医療従事者なので、コロナ禍の中、文字通り一瞬たりとも気が抜けません。そのような状況の中でも、頭が下がるほど本連載に目を通してくださっています。「なにせお兄ちゃんが、最後に見ていたのが、この指とまれの連載ですから。」お二人は、いつも口癖のように話されます。

お二人は、名産大の近隣市にお住まいです。あとで知って、本当にびっくりしたのですが、亡くなったお兄さんと妹さんの同級生が、名産大に通学していることがわかりました。世の中は実に狭いものですね。今は、まだ本学の該当者には話してません。そしてさらにびっくりしたのですが、該当する学生は、私の授業を取っていることもわかりました。

もう少しで、本連載は終了します。ラスト1回が、どういう形で終わるのかは、書き手の私の中でも、未だ定まってはおりません。連載が終了した後で、該当の学生に告げ、お兄ちゃんや妹さんとのエピソードなどを聴いてみたいと思っています。

(つづく、あと9回)