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ビジネス心理コース授業紹介 トロッコ問題(2)
前の記事でご紹介したトロッコ問題,考えて頂けましたでしょうか?
むずかしい判断だったことと思います。
これはイギリスの哲学者であるフィリッパ・ルース・フット(1920年10月3日生)が提唱した
「多くの人を助けるためなら1人を犠牲にしてもよいのか」
という,道徳的なジレンマを考えさせる問いです。
この問いに正解はありません。
受講生の多くは,切り替えると答えました。その理由の大半(全てと言っても良い)は,切り替えた方が被害が少ないというものです。
世界的に見ても,多数の利益のために一人を犠牲にするという数の論理によった答えが多いとされます。
しかし,重要なことは,この道徳の基準は普遍的ではないということです。
切り替えた先にいるのがたまたま入り込んだ子どもだったら?
自分の友人だったら?
人の判断はその時々で変わり得ます。
「自分はどういう時にどういう判断をするのか?」
「他の人たちはどうか?」
そうした自分や他者のこころのあり方について,一緒に考えてみませんか。
回答例
(1)切り替える(列車は1人の方に進む) 63.9%
・なるべく被害が少ない方が良いと思ったから
・客観的に見て被害が最小限で済むと思ったから
・犠牲は少ない方が良いと思ったから
など
(2)切り替えない(列車は5人の方に進む) 36.1%
・切り替えた場合,「自分がその人を殺してしまった」と罪悪感に耐えられないから
・線路を切り替えると,トロッコによる事故が自己決定による自己責任になると思うから
・線路を切り替えると,本来亡くなるはずでない人の未来を変えてしまうと思うから
・5人の所へ行く運命だったから
など
※ジレンマ:ある問題に対して2つの選択があり,どちらかを選ばなければならないが,どちらを選んでも何らかの不利益があるため,判断しかねる状態