「就業力育成」から「産業界ニーズに対応した教育改善」へ

 平成22、23年度に実施した「就業力育成支援事業」は、平成24年度から「産業界ニーズに対応した教育改善・実体制整備事業」に替わった。本学では、一貫して「社会人基礎力」を有する学生の育成と、各種インターンシップをとおした学生の実践力向上を狙いとしているが、産業界のニーズを踏まえなければならない。

 産業界のニーズとして、近年は「基礎力」の必要性が指摘されている。従来の産業界のニーズは「即戦力」であったが、近年の急速な技術変化に対応するためには「基礎力の充実」が欠かせない。この10年を見ても、ユニクロに代表される中国からの輸入品の増加、液晶テレビ関連産業に携わる国内産業の在り方など、急速に変化が進んでおり、「メイドインジャパン」と題した日本産業の今後について考えさせられるテレビ番組でも、基礎的な技術開発力の継続性が必要であると認識させられる。

 既にグローバル化は当然であり、国内のみを市場とする産業は今後の人口縮小などにより、大きな成長が望めなくなってきた。もちろん、国内市場でも成長分野はあるが、大きな成長を望むためには、自動車産業の成功事例のように海外展開が欠かせなくなっている。

 本学では、これらの変化に対応できる人材育成を目指して、平成24年度入学者から新たなカリキュラムを展開しており、グローバル化に対応する「海外インターンシップ」に加え、問題点を見極めた上で新たな視点で提案できる人材を育てる「長期企業インターンシップ」「農山村インターンシップ」などを3学年次の春学期に実践できるプログラムを開発している。この実践には、学生自身の積極的な取り組み、教職員の実践的な参加が必須であり、今後プログラムを完成させていかねばならない。

 本事業では、産業界のニーズを的確に把握し、それに対応した人材を学生、教職員が協働して育成させねばならない。この事業をとおした本学自身の「変化」が試されている。

成田暢彦