平成26年度 長期インターンシップ実施から学ぶこと

吉川 智

名古屋産業大学では、平成26年度より学生の長期(3ヵ月)インターンシップ(以下、ISという)を実施している。昨年度の短期(2週間)導入ISを経験したうえでの長期ISである。実施に当たり、履修学生および受け入れ先研修所では、ISを通じての成果もさることながら、どのようなトラブルが発生し、また対応が求められるのか、統括責任者として内心では落ち着かない期間でもある。もちろんIS実施に当たっては、本学独自の「危機管理マニュアル」も事前に作成し、学生の事件・事故が発生した場合には、関係者の情報共有とともに、速やかな対応ができるよう支援体制を構築してきている。

研修中の事故として、降車時に風に煽られてドアが急に開き、隣の車に傷をつけた事例、清掃中に脚立から落下した事例などが報告された。なかでも気になるのは、研修中に体調不良を訴えた学生が数名出た事である。午前中、晴天のなかを自転車で走り回り、午後は室内勤務となり、気温(体温)差等が原因で血圧が降下し、ダウンしたものである。また或る学生は、野外での研修中に降雨があり、身体が濡れた事から体調不良を訴えた。

これらの事例にはそれぞれの原因があると思われるが、それにつけても気になるのは学生たちの基礎体力問題である。スポーツ系の学生であればあまり心配することはないのであろうが、ダウンした学生を見ると、小柄で、青白くそして極端にスリムである。文部科学省の平成24年度「体力運動能力統計調査」では、青少年(6歳から19 歳)について「長期的にみると,握力及び走,跳,投能力にかかる項目は,体力水準が高かった昭和60 年頃と比較すると,中学生男子の50m走(スピード),ハンドボール投げ(巧ち性・筋パワー)及び高校生男子の50m走を除き,依然低い水準になっている」と報告されている。

IS巡回中に学生および研修先の双方から聞き取り調査を行ったが、学生からは「9時-5時の時間が長い、疲れる」という回答を得た。他方、研修先からは、「学生の挨拶の声が小さい、体力がない」との回答を得た。学生とってはISを通じて「働くことの意味」を学ぶことが重要な目的ではあるが、しかしながら、それ以前に自らの基礎体力もしっかりつけて、ISを履修するということを先ずは学ぶべきものと思われた。